14 駅前広場のベンチに戻り、ぼーっと人の往来を眺める。知らない人たちで溢れている。この町には、たくさんの人がいる。大人も子供も、良い奴も悪い奴…
13 男はこの世の悲しみに打ちひしがれるように、がっくりと肩を落として固まっていた。かれこれ、十分以上ぴくりとも動かずに地面を見つめており、通行人…
12 「お金を脅し取るっていうのは、感心できませんよ」 友達が被害者になり、仕返しがてら金儲けをするのは正しい道ではない。口実が欲しかっただけではないか…
11 僕と彼の間には、見えない壁がある。彼は、透明の壁の存在に気づくと首を傾げ、不思議そうに空中を叩いた。この見えない壁を回り込めるのではないか、…
10 自分の失態を報告するのは辛いものだ。 「逃げられちゃったのは平くんのせいじゃないよ」 自分の失態を優しく慰められるはとても沁みる。面目ない…
9 マスクをした見ず知らずの女性から「見てた」と言われた。 何を? 慌てて頭の中で、記憶の蓋を引っくり返して回る。「内密にお願い致します」という…