如月新一

作家です。著作『あくまでも探偵は』『放課後の帰宅部探偵 学校のジンクスと六色の謎』 読んでる間は楽しくて、読み終わったら何かが残る、面白い小説が好きです。

「クビキリ」(初稿-9)

      9  初めて会ったマリンは写真で見るよりも愛嬌のある顔をしていた。青い右目は神秘的だけど、この犬の価値はそんなものではないように思う。  マリンは、…

「クビキリ」(初稿-8)

       8  森巣が鼻先まで持ち上げていたティーカップをゆっくり下ろした。 『きれいは汚い、汚いはきれい』人は見かけじゃわからない。森巣はまだ、僕を油断さ…

「クビキリ」(初稿-7)

       7  壁に取り付けられている、インターフォンのモニターを見て、殺人鬼が僕を探しにやって来たような戦慄を覚えた。  そこには、柔和な表情の森巣が写っ…

「クビキリ」(初稿-6)

       6   詳しく話を聞こうと案内された柳井先生の家は、瀬川さんの家の近所にあるレンガ調をした外壁の、庭とガレージ付き一軒家だった。玄関には観葉植物が…

「クビキリ」(初稿-5)

       5 『森巣くんは信じても大丈夫だよね?』  僕の心の声ではない。瀬川さんからの着信だ。  小学校を後にし、思考の迷路に迷い込むように、町を彷徨って…

「クビキリ」(初稿-4)

       4  瀬川さんの犬を奪った犯人が逃げ込んだ先は、袋小路だった。  だが、そこに姿はなかったのだと言う。  犯人は煙のように消えたのか? そんな馬鹿…