見出し画像

書籍化に向けて動きましょ!

登場人物紹介
如月
:リデビュー賞を受賞した作家
河北:講談社タイガの編集長
:講談社タイガの編集者
佐渡島:コルクの如月担当編集者

如月:今、小説界は未曾有の危機に陥っています。小説が売れない。読まれない。小説は終わった、オールドメディアだ、と言われることもあります。
本当にそうでしょうか。小説に未来はないのでしょうか。

河北:如月さん、突然どうしたんですか? っていうかそれ。

如月:私たちは、そう思いません。
小説は、たった一人の作家さんの想像から生まれる、もっともシンプルに創作が完成するエンタテイメントです。
だからこそ、作家さんの才能がもっともダイレクトに表現できる創作物です。
それゆえ、あらゆる媒体に昇華できる、すべての物語の素材になりえます。
小説には、未来があります。私たちはそれを信じています。

河北:……それ、私の。

如月:ですから、今でも、多くの小説新人賞が日本にはあり、毎年、多くの新しい才能が世に問われているのだと思います。

如月:しかし、プロとして認められ、デビューされた才能があるにもかかわらず、出版不況の中で、なかなか小説を刊行できなくなることがあります。
小説の価値に懐疑的になり、筆を折ってしまった方もいらっしゃいます。
様々な事情で出版社とのお仕事を諦めてしまった方もいらっしゃいます。
もちろん今も第一線で活躍されているけれども、他の版元やレーベルで、自らの才能を試してみたい、と思われる方もいるでしょう。

河北:こ、これは打ち合わせの時に、編集者が作家にやらせるという、あれ…!

如月:どうしても新人作家さんや、一部の大御所作家さんが、中心になってしまう
今の時代だからこそ、私たちは、すでにプロとしてデビューされた方で、
新しく活躍するフィールドを求める方に限定した賞を創設したいと思います。

如月:そして、もっと評価されるべき才能の再デビューを、講談社が全力をあげてプロデュースをさせてほしいのです。
もう一度、小説の面白さを、講談社を、そしてなによりも、
あなたご自身の創作の才能を信じて、傑作を世に送り出しませんか?

如月:繰り返します。私たちは、小説の未来と作家の才能を信じています。
ご応募、お待ちしております。
by 講談社文芸第三出版部

河北:編集者が作家によくやる必殺技 “その書いた文、声に出して読んでみてよ” を繰り出して、なんなんですか!

如月:いや、講談社タイガ編集長の河北さん、これ読んでくれてる人、第1回リデビュー小説賞のことをすっかり忘れてるんじゃないかと思いまして。例の、プロ限定の小説新人賞ですよ。

如月:あと、脳内音読はしますけど、自分が読むと演技力を求められて、人前では恥ずかしいですよね。そう思いませんか、コルクの佐渡島さん。

佐渡島:それよりも、人物紹介が自然じゃないね。タイガの河北さん とか コルクの佐渡島さん って呼ぶんじゃなくて、読者が興味を持って自然にキャラを掴む書き方にしないと。

如月:助けて、タイガの泉さん!

:まあ、展開上名前を早めに出したいという気持ちはわかりますわよ。
ん、あれ?

:どうして僕、女になってるんですか!?

如月:キャラを立てる為ですよ。野郎四人だと、区別がつきにきいんでね。
泉さんは、眼鏡有能秘書キャラで書かせてもらいます。

:そんな! 作家の都合で編集をおもちゃにするなんて!

如月:河北さんと泉さんは、芹沢政信さんの『絶対小説』で悪魔合体しておもちゃになってたじゃないですか。
あれがいいなら、女体化くらい!

河北:あ、リデビュー賞受賞作第1弾で既に全国の書店と電子書籍ストアで発売中の『絶対小説』の話題が出て来たということは!

如月:宣伝をぶっこまれましたが、そうなんですよ。
僕の受賞作『モリス』も書籍化に向けて動きましょうか、と思いまして。

河北:受賞して新聞取材に答えてもらって、群林堂の大福ごちそうしたのに、こいつなかなか動かねえなと思ってたんですけど、やっと動く気になったんですね!

如月:他のシナリオ仕事してまして、その〆切と戦ってたら、間が空いてしまいました。ごめんなさい。ほんとごめんなさい!

:でも河北さん、安心するのは早くないですか?
なんか如月の野郎が、妙な顔をしてますよ。

如月:いやあ、実はですね、前にnoteでも書いたんですけど、『モリス』書いたの結構前なんですよ。5年前くらい?

河北:はい。

如月:賞に応募したくせに言うのもあれなんですけど、受賞すると思ってなくてでして。

:はい?

如月:で、できればなんですけど、本になる前に直したいなあと思うわけですよ。

:直すのはもちろん、みんなそのつもりですよ。
他の受賞作も、改稿をしてから書籍化してますし。
で、如月さんのそれは、どれくらい手を加える予定なんですか?

如月:ええっと、全部?

河北:泉、如月は何て言った?

:全部と。

如月:いやでも、折角書籍化の機会をいただけることになったわけで、こいつが今の俺のベストだくらえ! って本を世に送り出したいじゃないですか。

佐渡島:直すのは賛成。キャラが弱いところとかリアリティとか直した方がいいと思うしね。

佐渡島:まあ、如月くんは筆が早いのが武器だから、すぐに直せるよね?

如月:料理人に飯出てくるのが早いってのは大した褒め言葉じゃないですよ。味を褒めてくださいよ。

佐渡島:2ヶ月で全部直せるでしょ?

如月:まあ、だいたいそれくらいなら…。

河北:まあ、2ヶ月なら。

:大丈夫そうですね。

如月:じゃあ、直しをしていきたいと思いますので、みなさんこれからよろしくお願いしますね!

賢明な読者諸君はお気づきだろう。
如月は「2ヶ月で直します」とは言い切っていない。

「それくらいなら」と言っただけだ。

そして、2ヶ月後に修正は終わっていない。
これから、長い長い改稿修正の戦いが始まるのである。

だが、誤解をしてはいけない。
如月は嘘を吐いたわけではないし、できれば2ヶ月で終わらせようと思っていたが、結果としてかかってしまっただけなのだ。

誰が如月を責められようか! 責めないでくれ! 頼む!!

この記録は、如月と担当編集三人たちの、熱い共闘について記すものである。
作家 如月新一が苦悩する姿を、ノートに突っ伏して文字をぐねぐね書いているだけでも、頭の中では色々書いていて決してサボっているわけではないんだということを、弁解する記録でもある。

プロが新作を書く際に、編集者と組み、良い作品を作り上げていく。

バチバチしたり、褒め合っていて側から見たら若干キモくなっていたり、「立ち上がれ如月!」「がんばえきさらぎ!」「ケツイを力に変えるんだ!」と叫んでもらう瞬間がある。

そんな煌めく瞬間と、書籍化に向けて動いていく過程を読者諸君にも、知っていただきたい。

がんばってんな如月、と知っていただきたい。

そして大事なことを、あらかじめお伝えしておこう。


これは、宣伝活動である!

ちゃんと如月たちの戦いが終わり、書籍化したときには、是非手に取っていただきたい。
最終話を読んで、「なんだよ、結局宣伝かよ」と思われたくないから、その予防線だ。

本を売りたい気持ちは、私が人一番強い。担当編集が三人いるので、その思いは四倍となる。

いや、もっとと言ってもいいかもしれない。

みんなの思いが乗った本が出来上がるのだ。

だから、応援するってことがどういうことかは、賢明な読者色はわかるはずである。

これ以上は言うまい。

twitterとか作品でのフォローや拡散をしてもらえたら嬉しい。が、それだけが応援ではない。

だから、これ以上は言うまい。

如月:じゃあ、修正の打ち合わせを始めましょうか。
プロットを送りますね。

つづく



いいなと思ったら応援しよう!

如月新一
お読みいただき、ありがとうございます…! お楽しみいただけましたら、サポートいただけますととっても嬉しいです☆彡 スキ・コメント・サポートを励みにがんばります…!