バーバラと心の巨人_感想

それは来るべき現実との戦い『バーバラと心の巨人』

映画感想シネマパラダイスの7本目は

『バーバラと心の巨人』だァー!!

みんな、巨人と戦う準備はいいか!?

あけましておめでとう。2019年だぜ。『AKIRA』とか『ブレードランナー』の舞台の年さ。こりゃ脳内BGMで、らっせーらーらっせーらーって流れるってもんよ。
ところで、おおみそかはみんな何を観てた? 紅白? ガキ使? 格闘技?

やっぱり、年の最後の日ってのは、おもしろいものを観たいって思っちまうよなあ。俺は地元の映画館で、『バーバラと心の巨人』を観ていたよ。
この映画のネタバレラインが難しいからスレッスレをせめるぜ。

あらすじを説明すると、主人公はウサ耳カチューシャを付けた変わった少女バーバラ(12歳くらい?)だ。
彼女はただのキッズじゃない。なんと、巨人ハンターなのさ!! 家の近くの海岸や学校の中に結界を張ったり、森の中に罠を仕掛けたりして、巨人を倒そうと苦心している。
だけど、周りの人たちはみんな、「巨人なんていない」とバーバラの扱いに困ってる。バーバラを理解しようとしてくれる転校生やスクールカウンセラーもいるけど、気持ちはすれ違い、バーバラは彼女たちを傷つけてしまう。
それでも、バーバラは孤軍奮闘をする! 全ては巨人を倒すために!!
そういう物語さ。

とまあ、ここまで話すと、みんな気になることがあるよな?

巨人はいるの??

物語の世界観は、別に『進撃の巨人』みたいな感じじゃない。現代が舞台さ。
映画の中で、巨人がバーバラに囁きかけてきたり、CGでビジュアルとして登場する。だから、巨人がいるような気持ちになりながら見てしまう。
巨人なんていないだろ? いや、でもいるんじゃないか? この映画だともしかするといるかもしれないぞ、巨人。そんな気持ちになってくる。

なんでバーバラには巨人が語りかけてくるのか? 見えているのか? 攻撃してくるのか? そいつが問題なのさ。

見ながら、色々と予想ができるわけよ。それでも、バーバラがなんで巨人と戦ってるのかわかったとき、俺はおいおい号泣しちまったね。だってよお、辛いよなあって同情しちまうんだもん。

巨人から町を、大切な人を守りたいとバーバラは戦っている。
敗北は、喪失を意味する。
つまりそれは、来るべき日との戦いでもあるんだ。

何か大切なものを失うときってのは辛いよな。でも、今は大人だからなんとなく心の整理ができちまったり、納得したふりをすることもできる。引きずりながら過ごす術も身につけてしまった。

だけど、自分がまだ子供だったらどうだろうか?

別の映画の話になるんだけど、相米慎二監督の『お引越し』っていう映画が俺は大好きなんだ。この映画で、両親の離婚という問題に直面した少女が、神秘的な世界にトリップするシーンがある。
俺はこれを見て、そうか、子供にとって家族の崩壊というのは、これくらい衝撃があることかもしらんな、と思ったよ。
世界が変わってしまうのにそれを止めることのできない無力感と現実味のなさ、或いは信じたくない気持ちが見せるもの、という感じかな。

『バーバラと心の巨人』も、それに通ずるものがある。
巨人が一体何なのか? それがわかってから、ラストまで俺は手に汗握り、涙を流したよ。バーバラが置かれる境遇は、とても普遍的なんだ。世界的に見れば、個人的な悩みさ。だけど、だからこそ、その個人的な苦しみの深さを想像できて、共感できる。

あと、映画的な内容でいうと、バーバラ・バーバラの姉・転校生のソフィア・スクールカウンセラーのモル先生・いじめっこガールズなど、物語を転がすキャラクターが女性だけの映画っていうのも面白かった。女性の強さっていうのかな、たくましさみたいなものを感じたよ。
それに、音! バーバラがその話を聞きたくない…! ってときは、音がすっと消えて、元に戻るときにふわっと戻るのが面白かったなあ。こういう演出は映画ならではだよなぁと思って楽しかったよ。

『バーバラと心の巨人』それは、
過酷な精神状態の主人公が受け入れたくない現実と戦う物語さ。
人間は、巨人という現実に勝てるのか?
悲しいけど、観た後にいつまでもそっと寄り添ってくれる映画だったね。

『バーバラと心の巨人』以上ッ!
ではではまたまた

【アンダース・ウォルター監督の他のおすすめ作品】
長編は今作がデビュー作
短編の『ヘリウム』(2013)は第86回アカデミー賞短編賞を受賞。
【子供の虚実混合入り乱れる世界が描かれる映画】
『お引越し』(1993)
『かいじゅうたちのいるところ』(2010)

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作家です。著作『放課後の帰宅部探偵 学校のジンクスと六色の謎』 読んでる間は楽しくて、読み終わったら何かが残る、面白い小説が好きです。 http://papermoon.gloomy.jp/index.html

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