1話目2稿を書きましょ!
登場人物紹介
如月:リデビュー賞を受賞した作家
河北:講談社タイガの編集長
泉:講談社タイガの編集者
佐渡島:コルクの如月担当編集者
如月:1話目を書き直しました。
具体的には
・各章のコメントいただいていた修正
・読みやすいように2〜3000文字で章変え
・その他全体的に調整
って感じです。お手すきの際にご確認くださいまし…!
泉:めっっっっっちゃ面白くなっています!!!本当に、お疲れさまでした!
如月さんががっぷり四つで改稿に取り組んだことが非常によく分かる、全編にまで行き届いた手の加えぶり。感動しました。
泉:特に、冒頭の完全に新しい2節が有効に利いている点と、14節の生まれ変わったような飛躍ぶりには惚れ惚れします。 12節の僕には勇気がない~~からの流れ最高です!!! これのある無しで全然印象が変わります! イイですよ!
如月:泉さん、そんなに僕を褒めても500円しか出ませんよ?
泉:500円ください!
如月:すいません、小銭を切らしてまして。
泉:4節の「一緒に探す」だともう一声弱いんで、オリジナルなセリフが欲しいですね。
5節は、地の文に今のテーマがあまりにじんでいない気もします。
9節はどこかで「謎」という単語を使って、これが不思議ですよ!核ですよ! と伝えた方がわかりやすいですねー
如月:金がないって言った途端に!
如月:いや、冗談はよけとくと、改善点アドバイスもめっちゃありがたいっす。
泉:現場検証中に、どこに・どんな風に立っているのかも伝えたいですよね。ただ立っていることができるタイプなのか、壁に凭れるのか、座り込むのかあるき回るのか。手持ち無沙汰で手遊びや足踏みをするタイプなのか。
如月:あー、動作からキャラの性格って出ますもんね。うろうろしまくるより、ピンポイントを調べてたり、考え込んでる方が頭が切れそう。
佐渡島:全体的にすごくよくなっていて、面白かった!
佐渡島:前半部分は最高に良くなったけど、後半はあらすじを進めることがまだ最優先されてると感じたかも。森巣を平がなぜ、疑ったのかとかが、設定だけで進めようとするとやっぱり無理があるから、キャラも含めて、もう少し自然な感じにしたいね。
如月:前半は、みんなのご意見を受けて、キャラを掴みやすくなるようにエピソードも変えたので、それで良くなった気がしますね。おかげで動かしやすくなりました。
如月:後半の謎解きパート、謎解きの為にこの情報を開示しなきゃと思いながら書いてたので、そこにもちゃんとキャラクターの動機を紐づけてやりたいですね。
如月:……。
河北:どうしたんですか? 結構いい感じに直ってますよ?
如月:いや、探偵ものって改めて書くのは難しいよなあと。
河北:如月さん、ミステリーでデビューしたし、ミステリー書いてるじゃないですか。
如月:探偵が事件を解決しようとするのって、他人の問題に土足で介入するわけじゃないですか。それってなんか、ちょっと品がないよなあと。警察だったらまだしもねぇ。
河北:如月さん、好きな探偵は?
如月:工藤ちゃん。
河北:ミステリーじゃないじゃねえか!
如月:いや、そうなんすよ。でも原体験的に、探偵って聞くとときめくんですよ。だから、ちゃんと探偵モノを書く時は、自分なりのこだわりを持って書かないといけないとな、と。
河北:でも、森巣にも正義はありますけど、警察とか世間の正義とは違う考えて動いてますよね。
謎解き・推理パートでも、森巣が求める結果へのやり口とか、どうして事件に介入するのかを書けたら新しい探偵になりそうじゃないですか。
如月:確かに! そこがオリジナリティになりそうですね。
森巣は良い奴なのか悪い奴なのかわからない。完全に酷い奴だときっと平が許してくれないんで。
河北:実は昨今小説では、「暗い話」が多くなっているように思います。一方、世間では「暗い話」が受けにくいんじゃないか、という空気を感じてるんですよ。
河北:如月さんの作品って、暗くならない…どこかに明るさを持っているところが魅力だと思っていまして。妹の車いすだったり、平の性格の部分だったり、この物語も暗い方向に引っ張ろうと思えば暗くなれるんですが……ここはあえて、ユーモアだったり、ギャグだったり、二人の会話の掛け合いだったり、何より彼らの世界の見方を暗くしすぎないようにしたほうが良いだろうな、と感じています。
如月:僕もただ暗いだけの話って苦手で。辛い中でも、おかしみとかユーモアがあるから、人って生きていけると思うんですよ。リアリティとのバランスの勝負はあるんですけど、ユーモアで読むことが楽しい小説にはしたいですね。
河北:すっ(両手を差し出す)
如月:こ、小銭切れてるんで。
河北:かさばらない、折りたためるやつでいいですよ?
如月:じゃあ二話目を書いて来ますー!!
つづく