本当に面白いのはUFOじゃなくて人間かもしれない
大晦日ですね。
お友達の家に遊びに行き、映画鑑賞会をしてきた。今は帰りの電車。多分年越しの瞬間は横浜駅かな。
一人で見たらちょっと手に追えなさそうだなって予感をしていた『虚空門GATE』をみんなで観た。
ちょっと待ってね。
映画感想書いてた文体を思い出すから。
2023年も、もう終わりだ。
今年は、怪談とかオカルトが熱かった。YouTubeの番組も増えたし、怪談のイベントも増えたし、都市伝説展とかリアルなイベントもあったしね。
実話怪談が特に好きなんだけど、実話怪談って創作した物語じゃなくて、体験者が特定できる裏取りがある聞いた話なんだよね。
楽しむためのマナーとして、んなことあるかよ、って突っ込むんじゃなくて不思議な話だなぁって聞く。
そういうもんだ、って思って話術込みで楽しんでたんだよ。
これからもそうだと思う。
心のどこかで、このままでいいし、何も問題はないと思ってたよ。
この映画を観るまではね。
『虚空門GATE』はドキュメンタリー映画さ。最初は宇宙人の解剖ビデオをバーに集まって視聴して語り合う集会から始まる。
わかんないけど土日の昼間から集まって宇宙人解剖ビデオを見るなんて、みんな友達がいてよかったねと思ったよ。あたたかい目で見てた。
UFOを信じている人たち(ビリーバー)を追うドキュメンタリーかな? と思ったんだけど、30分くらい何も起きなくてやばい退屈なものを持ち込んでしまったかなと不安だった。
けど杞憂だった。
何故か?
被写体のビリーバーが覚醒剤で逮捕されるから。
WHAT!!
で、ドキュメンタリーだからさ、多分偶然逮捕されたんだけど、カメラはそれから宇宙人とかUFOじゃなくて被写体の庄司さん(男性・職業:俳優、画家)をメインに据える。
このドキュメンタリー、一緒に観てた友達が「モキュメンタリー(ドキュメンタリー風映画)じゃないの?」って何度も確認してきたんだけど、それもそのはず。
何故かって?
登場人物がキャラ立ちし過ぎてるから。
・庄司さん
顔立ちは整ってるけど胡散臭い長髪で、最初は目がギラついててソワソワしているし、声が震えてる(コカインの症状?)。
覚醒剤で逮捕されるも無罪を主張。
UFOを呼べるし、撮る写真撮る写真にUFOが写る。
人前ではカッコつけちゃうけど、飼ってる猫には涙を見せる。
・庄司さんの恋人
庄司さんの恋人の女性で、ダンサーをしている。一見堅実な話し方をするんだけど、たまに「先祖」みたいなことを口にして心配。
限りなく黒に近い庄司さんに寄り添っていて、本当は全て知っているんだとしたら包容力があり過ぎる。
覚醒剤で逮捕されても、どんなに嘘をつかれてもそばにいる。
「彼に付き合えるのは、わたしだけなんじゃないかって思いたい(うろ覚え)」
良い人だけど、どうしてそこまで? と心配になる。
・大家さん
庄司さんの住んでたアパートの大家さん。
庄司さんが逮捕される前は仲良かったけど、逮捕されてからはアパートから追い出すと鉄の意志を持つ。
庄司さんの恋人に、「あいつに言っておいて」と大家さん自身は何もしないのに自分の言いたいことを言いまくる。
いるよね、こういうおじさん!!
庄司さんが迷惑かけましたってお店に謝りに来たら開口一番「仕事中だから」ってすげなく応対して、向かい合って座った時には庄司さんの差し出すお菓子を一旦邪魔だなってムーブしてから即煙草に火を付けるムーブ。
いるよね!こういう不機嫌で場を支配する人!!
・竹本さん
UFO研究家。国会議事堂前とか皇居前にみんなでUFOの撮影に行って、警備員に「いつまでやるんですか?」って訊かれて「UFO出たら帰ります」って答える天然っぷりを発揮。
「このままUFOが現れなかったら北朝鮮と戦争が始まる」って謎の圧を無自覚に発している。
庄司さんの真横にいるのに。いるのに!!
・刑務所前で職質してきた警察官
無駄にノリが良くて、UFO好きですよ! ってめちゃくちゃ話をしてくれる良い人。
おるのか? こんなる警官が? 良い人なんだろうけど、映画に出演したことは知らないはず。多分怒らなさそう。
他にも盛りだくさん!
はぁ、はぁ、濃い調味料ばっか飲んだ気がして胸焼けが。
ともかく、最初の30分は音声バランス悪いし何見てるのかわかんないんだけど、庄司さんが逮捕されてからずっと面白くなる。
ビリーバーが覚醒剤で逮捕されて、それから面白くなるの? って気になると思うんだけど。
何が起こるの? って。
起こるんです。
庄司さんに誘われたUFO界隈に入った若い人が、言うんだよ。
「庄司さんが、UFOの写真作って撮影してるの見ちゃったんですよ」
まさか、そんな。
まさか。
そして、カメラには決定的瞬間が!!
この映画がすごいところは、人生が映り込んでるところなんだよ。
UFOを追う人の人生、嘘を吐き続けて引っ込みがつかなくなった人の人生、彼と生きたい人の人生、彼の嘘に振り回される人の人生、彼を優しく取り込んでしまった人たちの人生。
なんか見れちゃうところは、宗教とかと違って、庄司さんの嘘が悪意や害のない嘘なところなんだよね。だから、まだ見てて辛過ぎない。いや、辛いは辛いんだけど。
庄司さんをみんなが糾弾して破滅してるのを見たいかって言ったらそうでもないんだよね。
とても、とても複雑な気持ちになった。大晦日なのにすごくもやもやする。
人間、面白過ぎる。
本当に面白いのはUFOじゃなくて、人間なのかもしれない。
オカルトが流行るこの世界であなたは何を信じる?
『虚空門GATE』おすすめです。
やー、来年はもっと映画観たいな。
本日閉店
良いお年を!