小説道2

如月新一のしょうせつ道2(裏道)

小説家、如月新一のクロニクル。
表では語り切れなかった、裏のクロニクル。
小説家街道一直線! みたいなものより、寄り道知った方が楽しくない? と思って。

表はしょうせつ道、裏道は四方山話って感じの区別でいこうと思います。
これはいわゆる、誰得情報というやつです。
誰も得をしません。俺も得をしません。
じゃあ、なんでやるのか? わかりません。

幼稚園:好きだった女の子が「カマクラ」に引っ越すという情報を知り、愕然とする。カマクラと言えば、雪で出来たあれだ。こんなに幼いのに家族で雪の家に引っ越すなんて、かわいそうだ! 人生って理不尽だ!! と思い、餞別の意味を込めて逆バレンタインを決行。時代を先取りました。

ぐっばいまいでぃあ

けど翌年、模試の会場でばったり再会。しかも僕の隣にはすでに新しいガールフレンドがいる。初めての修羅場を味わう。
でも、元気そうでよかった。あと、「鎌倉」という土地があることを知る。意外と近くて、僕は半笑いでした。

中学生:空前のブランコブームが訪れる。誰かの家に遊びに行っては、そいつの家の近所の公園のブランコに乗り、ジャンプをして柵を越えるという遊びが大流行。

が、そんなブランコブームも終焉を迎える。

ある日、小学校の塾時代からの友達、進藤君(実名)の近所でブランコに乗っていたら、何やら別の中学生グループがやってきて、難癖をつけてきた。
進藤君と、どうやら顔見知りらしい。進藤君はみんなで喧嘩をしようぜ! とノリノリ。

でも、それを見て、俺は察しました。

進藤君にハメられた。

うちの学校は、1クラス40人、7クラスある男子校です。
そんな学校には鉄の掟があります。

「暴力禁止即退学」

年頃の男の子たちの集まりだから、厳しい戒律は必要でした。新選組かよって感じです。クラスで喧嘩があったときも、先生に見つかる前に、みんなで止めるのが暗黙の了解。
ノリノリの進藤君には悪いけど、僕はひたすら謝り倒して喧嘩を回避しました。これは美談として後世まで語り継がれ、村に伝わる伝説になりました。
進藤君は残念そうでした。馬鹿め。

そんな僕も、優等生だったかというと、ガラスを割る常習犯でした。
いや、網が入っている強化ガラスってあるじゃないですか? あれってどんくらいの強度なんだろう? と思って「ふんッ!」って押したら、パリンと割れて、割れんのかよぉとショックを受けました。がっかりです。
母は学校に呼び出されました。ソーリーマザー。

あと、剣道部の帰り、ガラスの扉から河野君(実名)が外に出たら鍵を開けて、近づいたら閉めて、というおふざけをしていました。決していじめではありません。めちゃくちゃ仲良しで、今でも飲んでいます。いじめ、かっこ悪い。
で、河野君がブチ切れて、ドアノブの部分めがけて蹴りを入れました。
が、狙いが外れて彼の足はガラスを突き抜けました。

俺は、あの瞬間を忘れません。世界がスローモーションで、ガラスがキラキラしていて、みんなの顔は呆然としていて、河野君の足にはガラスが突き刺さっていました。

どのくらいの時間が経ったのかわかりません。
30秒にも10分にも感じました。そんな中、叫び声がしました。

「逃げろ!!」

誰の声か? 僕の声です。
みんなが一斉に駆け出して、校門を出ました。
そして、ある声がぽつりと夜の町に溶けました。

「やっぱり、戻ろう。みんな、逃げるなんてどうかしてるよ」

誰の声か? 僕の声です。
明日のHRで犯人探しをすることは確実です。
そして、どう考えても俺たちがクロです。
偶然通りかかった副校長に「あの、なんだかガラスが割れてしまって」と話しかけ、心配してもらいながら、河野君を保健室へ運びました。

母は学校に呼び出されました。ソーリーマザー。

中学時代を締めくくるのに相応しい言葉があります。
三者面談のとき、担任の先生はこう言いました。

「成績以外は申し分ないお子さんです」

先生、学校は勉強をする場所ですよ?? 母も僕も半笑いでした。

とりあえずここまで。

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ではではまたまた

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如月新一
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