しょうせつ道8

如月新一のしょうせつ道8(小説修行編)

さすがにそろそろ、小説の話も話さないと、こいつ友達のことしか話さなねえな、と思われそうなので、小説家クロニクルを話そうと思います。
おもしろい友達が多いんだから仕方がないでしょう!(逆ギレ)

僕は新人賞に応募しまくり、最終選考に残ることも何度かあったので、twitterで某社の編集さんに拾われました。
今でも感謝をしてもしきれない、一生頭が上がらない相手です。

「如月くんのことを知ってるよ、よければ会おう」的なことを言ってくれた某社の編集者さん、仮にフレッチャー先生(映画『セッション』を観ながら、暴力こそなかったものの、これは僕と編集さんのやりとりを見ているようだ、と思いました。※良い意味でね。)とします。

フレッチャー先生は誰もが知ってる大物作家を何人も担当しているらしく、口から出てくるのはすごい面子ばかり。僕もすぐに売れっ子になれそうだぜ! とテンション爆上がりです。
フレッチャー先生と初めて会ったのは、僕が大学院1年目のとき? だったような気がします。
連絡をもらって三日後(?)に会う予定だったので、僕は新作を書いて持って行けば「こいつは書くのが早いし、期待の新星だ!」と褒めちぎられるのではないか? と思い、短編を書き上げて持って行きました。

初めての会合はスムーズで、編集者さんとのやりとりはこういうものなのか、と思いながらケーキを食い、ガレットを食いました。美味しいものが食べれてほくほくです。
どうやら、フレッチャー先生のいる出版社では、新人賞を経由しないでデビューをすることができるらしく、それを一緒に狙わないか? というお話をしてくれました。

もちろん、僕の回答はYESです。
やったぜー! これで賞レースとはおさらばじゃー!
どきどきしながら、発表を待たなくていいんだー! と思いました。
で、原稿を渡し、その日は終了。

後日、フレッチャー先生から呼び出されました。

「あなた、本当に小説家になる気があるの?」

僕は褒められるつもりで会いに行ったら、フレッチャー先生はめちゃくちゃ切れてました。
要約すると、文章が下手くそすぎる、小説が好きな人とは思えない、という感じです。
僕は小説が好きだし、小説家になる気があります。
その旨を伝えても、フレッチャー先生は渋い顔をしています。
上げて落とす戦法だったのだとしたら、効果は抜群です。でも多分、そんな戦法ではない。なぜなら意味がない。
こうしてフレッチャー先生からの指導が始まります。

・高校ミステリーシリーズ
・男子校ミステリーシリーズ

を月に一本書いて送り、フレッチャー先生から厳しい指導のDMとメールが届き、会いに行ってこってり絞られる日々が続きます。
書いても書いてもボツ。

でも、僕は『セッション』を観ていました。
だから、これは僕の本気を引き出すために、わざと厳しいことをしているのだな、と言い聞かせていました。

ある日、「小説はもう書かなくていい」と言われ、小説を書くのを禁止されて、代わりに決められた作家の小説だけを読む、良作インストール修行をすることになりました。

これが効果覿面!

フレッチャー先生曰く、「読めるようになった」そうです。
やったぜ!! とほっとしました。
確かに、今までの自分の文章には無駄が多く、「キラリと光るセンスがあれば新人賞って受賞するんじゃないの?」と奢っていました。
まずは、読みやすい文章を、当たり前のことですね。
こうして、フレッチャー先生とデビューへ向けた連作短編小説の執筆を始めるのです。
これから待ち受けている、大きな波に飲まれることも知らずに。

とりあえずここまで!

一応言っておくと、フレッチャー先生は恐い人でしたが、愛嬌もある人でした。
僕より17歳年上なのですが、たまに自分のことを「妖精さん」と呼んでいました。僕は「チンクル?」と思いましたが、恐くてツッコミを入れることができませんでした。

次回のしょうせつ道は、青天の霹靂、ボツの向こう側! をお送りします。

ではではまたまた

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