ぼくらの七日間戦争感想

この戦争の意味がわかるか?『ぼくらの七日間戦争』

思い返せば、私が作家になれるんじゃないかと自惚れることになった一つのきっかけが読書感想文でございました。

課題で出された本に対して書いたものに、現代文の先生が「これは何かを剽窃したのか?」と難癖をつけてきました。何を書いたか覚えてませんが、自分の考えを書いたので、むっとしたのを覚えております。

それを聞いていた同級生が、「先生、その文章に変なことが書いてあるなら、如月が変だからですよ」と言ってくれたんです。先生が「そうか」と引き下がるのにも、友達に「変だ」と言われたのにも、今思えば怒って良さそうなものですが、あの時は認められたようで嬉しかったのでございます。

子供の頃は書きたくなかった読書感想文。不思議なもので、歳をとったら記録のために、そして人に勧めたいから、と書きたくなるものでございますね。

外に出て買い物をするとき、「あぁ、このお金で本が買えるなぁ」と思って財布をしまう癖のある私。お小遣いはもとより、高校生の頃から働いて稼いだお金はほぼほぼ本に消えました。

そんなわけで、この本に出会えて良かったぁと思える小説やマンガの感想を書くマガジンを作成することにしました。人はなぜ本を読むのか? 読むと心や体のどこかが良くなるからじゃないかなあと思います。食事をするのと同じですね。それがこのマガジン名の由来です。

それでは一冊目

『ぼくらの七日間戦争』(宗田理・角川文庫)

終業式の日から中学1年2組の男子全員が家に帰らず、工場跡に立てこもり、「ここを解放区とする」として大人たちから隔離した自分たちの世界を作る7日間の物語。

何故そんなことをしたのかという動機には、大人たちへの不信があるけど、明確な目的はない。つまり、この立てこもりにはゴールがない。
だけど、物語は生徒の誘拐事件や謎の老人の登場、教師との対決など、どうなっちゃうの? の連続で進んでいき、ぐいぐい読まされた。あと、22名という多すぎる男子が、それぞれ少しずつ特技を生かして目立ち始め、覚えやすかった。

小学校低学年のときに読んで以来なので、ぼんやりとしか覚えていなかった。今読み返すと、結果的に上手くいく計画が割とガバじゃんと思うけど、汚職に手を染める市長への盗聴攻撃など痛快ではあった。
学生運動の世代の子供達、という設定なので小説ではこの理由なき反抗は、その影響なのではないかという示唆もされている。

だけど、自分の子供の頃も大人への苛立ちや不信感はあったし、目的なき非生産的行為が楽しかった。彼らが何故そんなことをしたかったのか? それは、したかったからだけなのかもしれないと思う。ただ、仲間たちと楽しいことをしたかったから、という解釈でも良い気がした。

キャラクターたちにとっての忘れられない思い出の日々であること、その日々を通して最後に内面が成長しているキャラクターがいるところが、良いなぁと思った。

鬱屈した気持ちをこじらせて社会に馴染めないと、アメリカン・ニューシネマや映画『さらば青春の光』のようになるのかなぁという気がする。
ラストの後、彼らは日常に戻っていくのだろうが、きっと一つの大きな遊びが終わったくらいの気持ちなのではないだろうか。

と、ここまでが読書感想。
小説を読み直したので、映画版も観てみることにした。

【映画】
小説とは異なり、男子の立てこもり人数も8名だし、女子も参加する。学生運動についての言及もない。
子供向け痛快エンタメ映画、という感じがした。体罰を振るう教師や、勝手に持ち物検査をして没収する教師など、明確な嫌な奴がおり、彼らに対するボイコットとして立てこもりをしていた。檻を作って先生や機動隊員を翻弄し、生徒たちがはしゃぐなど、正直言ってこれ素直に楽しむのは子供っぽいなとも思う(機動隊員は別に悪いことしてないし。仕事だもん)。
でも、小説ではなかったわかりやすい生徒の成長シーンもあった。うーん、こんなにわかりやすくしていいのかなあ、という気もする(喧嘩して仲直りみたいな)。
色々と子供だけじゃそんなことできないだろう! みたいなツッコミを入れると野暮だけど、子供たちが何考えてるのかはわかりやすかった。

青春モノのテンプレートとして意識すると、子供時代の持て余したエネルギーによって引き起こされる出来事、非生産性のおもしろさ、キャラクターにとっての思い出の日を描くこと、共犯関係という仲間意識、背後で動くサスペンス感あるサブシナリオ、全てが終わった時の達成感や成長だろうか。

大人を撃退するだけに喜べる無邪気な童心が失われてしまったことに寂しさを覚えつつも、大人としての見方もできるようになったことを自覚できたのが、少し嬉しくもあった。

『ぼくらの七日間戦争』以上
ではではまたまた


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作家です。著作『放課後の帰宅部探偵 学校のジンクスと六色の謎』 読んでる間は楽しくて、読み終わったら何かが残る、面白い小説が好きです。 http://papermoon.gloomy.jp/index.html
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